少女の頃に
よく知らない道を歩くのが好きでした(今もだけど)。
地方都市の県庁所在地で育ったので
草っぱらや空き地といっても
それほど果てしないものでもなく
でも少女のわたしにとっては
未知でちょっと怖いところでもあったのです。
友達と別れた後や
親に置いていかれて
ひとりで家に帰るときに
ちょっとする寄り道回り道。
そこで不思議の国のアリスに出てきそうな
巨大なムカデを大きな葉っぱの上で見たりして
少しは不思議な(いや、こわい、だな)思いもしました。
その頃の思い出の色はやっぱり緑色。
自分よりも背丈の高い草や
大きな樹や
垂れ下がるツルたち。
そこに風が通ると
ざざざざっとものすごい音がします。
ひとりだけ別次元のポケットに落ちてしまったみたい。
本当にいつもの空間に戻れるのかしらと
心細くてぞわぞわっとしたものです。
懐かしいような。
こわいような。
魅力的なような。
でももう二度と行けない。
そして誰も知らない。
誰とも共有できない思い出の風景です。
たぶんみなさんにもそういう風景がそれぞれあるのでしょう。
あ、ちなみにタイトルは
フランソワーズ・アルディの曲からつけました。
懐かしい人、いらっしゃるかなあ。
メロディを思い出せる方、いるといいなあ。
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◉作品詳細
タイトル:《もう森へなんか行かない》
素材:和紙・洋紙・台湾綾紙・水彩
サイズ:201×252 250×300(額装)
額装済み(インチサイズ・白色)
価格:35,000円
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