杉谷 知子(すぎたに ともこ)

切り絵・剪紙(せんし=中国切り絵)作家

1960年、山口県生まれ。

大学卒業後、業界紙の出版社に5年勤務した後、29歳からずっと教育・語学・人物取材を中心としたフリーランスの編集者/ライターとして活動してきました。ところが50代になり、なぜか剪紙(中国切り絵)に目覚めてしまいました。

きっかけは40代半ばに両親と旅行した中国大陸です。西安の兵馬俑博物館で出会った赤い小さな干支の剪紙を「かわいい」と買ってきたものの、もっとほしくなり、「じゃあ、自分で切っちゃえばいいや」と本で独習したり、ワークショップに通って習い始めました。

それまで絵なんか描いたこともない、絵なんて大嫌いの大苦手の文字人間だったのですが、あるときに「自分で図案を描いてみましょう」という課題をいただいたのです。いやいやトライしたところ、自分でも意外なことに、そのおもしろさにどっぷりはまってしまったのです。でもデッサンなんてまったくできない、下手な絵しか描けないので、みんなに隠して、描いては切っていました。

でもガマンできなくなってしまったんですね。「ええい、下手で何がわるい」と開き直り、SNSなどで自分の作品を発表し始め、周囲の友だちにも肩を押されたこともあって、2013年に切り絵作家としてデビューすることになりました。

今では年に1〜2回の個展や展示、イベントのほか、切り絵ワークショップや教室の開催、作品の販売、グッズの販売などをおこなっています。

わたしの切り絵について

わたしの切り絵の技法のベースは習った中国切り絵です。ただ中国大陸の手法とは違って、台湾経由の手法で、デザインカッターを使い、紙の上に下絵を乗せ、2枚一緒に切っていくというやり方です。

また、切ったベースの切り絵の裏から色紙を使って、色をつけていったり、白い紙を切って、そこに水彩絵具で色をつけていくという手法も使います。

切り絵というと黒い紙を思い浮かべる方が多いと思いますが、わたしはいろいろな色の紙を使います。中国切り絵を切るときには赤をよく使いますし、色づけでは茶色を好んで使います。またそのほかの色も作品によって、単色・多色で使いわけています。

わたしの切り絵の場合、重点は「切る」ことではなく「描く」ことだと思っています。いかに切るかではなく、何を切るか。何を描くか。それをとても大切にしています。ですから、「切り絵という手法を使った絵」……そうとらえていただけると、嬉しいです。