切り絵一日一語《小さなたのしみ》




ニンゲンっていうものは
何か楽しみがないと生きていくのがつらいらしい。


その楽しみはどかーんと大きな宝くじみたいなものじゃなくてもいい。
どんな小さなものでもいい。
なんでもとにかく「楽しみ」がないと
たぶん毎日が無味乾燥なものになる。


子どもがいる人なら子どもの成長とか。
お給料日やボーナス日とか。
パートナーがくれるプレゼントとか。
おいしい外食とか。
お休みの日の旅行やお出かけとか。
推しのライブとか試合とか。
来週出る好きな作家の新刊とか。
とにかくなんでもいい。


わたしの場合、
いちばん身近な楽しみは花木かな。
このシーズンだと蓮や睡蓮の成長が楽しみで
毎朝起きると、まずは見に行く。
蓮のつぼみはひとつ出ていて
まだまだ小さいけれどすくすく伸びている。


ひょろひょと2mにも育ってしまって
根本からバッサリ切ったパキラの木も
はらはらしたけれど
小さな新芽が出てきた。


去年実をつけたレモンは今年はダメそうだけど
アゲハ蝶のさなぎが脱皮に成功してた。


こんな小さな変化が私の楽しみなのです。
そしてそういう小さな楽しみが
わたしの生きる力を支えてくれてるのかもしれない。
なんだか急にそう思ったのです。

切り絵《さみしい》

切り絵《さみしい》
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芍薬の大きなつぼみを見たので
描いていたら
女の子がふたり、そこに載ってきました。


聞こえてきたのは
「さみしい」という言葉。
「寂しい」でも「淋しい」でもなく
「さみしい」って聞こえたので
そのままタイトルにしました。


どうしたのでしょうね。
なにがあったのでしょうね。


女の子たちに水色と紺の洋服を着せようと思ったら
あまりにさみしすぎるので
ちょっとでも気分を明るくと
黄色と橙色にしました。


この子たちのさみしさが早く薄らぎますように。


(あ、わたしはこんなに寂しくないです、念のために)


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切り絵一日一語『前門のトラ 後門のオオカミ』



前門の虎 後門の狼」とは
ある危険を逃れても別の危険が待っているという
結構絶体絶命の状態をあらわす成句です。


もともとはやっぱり中国らしく
原典は「前門拒虎、後門進狼」だとか。
意味は一難さってまた一難。
(ちなみに韓国語の「前虎後狼」はちょっと違って
表では正しくみえるけど、裏では陰謀を企む人」
という意味だそうです)


虎も狼も好きだけど、
リアルに山とかで出会いたくはありません。
さすがにマジで怖い。
幸い日本にはどっちもいないけどね。
でも切り絵の中では仲良くしたいと思って切りました。
どっちも腕の中に抱いちゃって懐柔しちゃって
かわいいトラとツンデレのオオカミにしちゃいたい。
そんなふうにどんな危機もなんとか免れたいものです。


前門のトラも後門のオオカミも
恐れずに足りず!
笑顔と鈍感力と知恵とスルー力とで突破しましょう。

「好き」に忠実に

切り絵《橙色》
✴︎販売中 on sale


唐の時代を舞台にした中国宮廷ドラマを見ています。
たぶん1時間×55話近くと、ひたすら長い。
人間関係のベースが疑いでドロドロ。
やたら人が死ぬ。
うざい女や男がいっぱい登場する。
……なんだけれど、
大道具や小道具、特に衣裳が新鮮で素敵でついつい見てしまいます。


そのせいで
皇帝や皇后らが身につけている
オレンジ色を切りたくなりました。


もうね、
自分がつくる切り絵に「意味」なんてどうでもいいと思うんです。
もちろんテーマや意味がきっちりあるものもあります。
でもすべてがそうでなくてもいい。
「芸術」とか「すごいもの」
「ほめられるもの」をつくろうなんてさらさら思わず、
「自分がつくりたいもの」「好きなもの」に
素直に忠実につくっていくことが
わたしには本当に大切なんだといまさらながらに思うのです。
自分がその時その時に切りたいものを切る。
たとえそれがどんなにくだらなくても小さくても拙くても。


もしよろしければ
そういう作品たちの中に
「好き」とか「いい」とか「ざわざわする」とか、
あるいは「あなたにとってスペシャルななにか」を見つけてください。

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