『ひかりのさけ』



賢治の作品に『チュウリップの幻術』というお話があるのですよ。
これがまた不思議なお話なのです。


ある洋傘直しが
見事なお庭のあるおうちを通りかかり
そこで傘を直すことになるのですが
白いチューリップから湧き上がる光のお酒を
園丁と飲みながら幻を見る……という感じのお話です。


読んでいると
こちらも酔っちゃうみたい。
色と光とエーテルと文字がまじりあう小品です。


大好きなチューリップをここぞとばかりに切りました。
絵の中で喜んで「ひかりのさけ」に酔ってるのは
わたし自身かも(てへ)。

254mm×203mm(インチサイズ)額装済み



『ゆらゆらのびたりちぢんだり』



『私の中の賢治』展には5つの作品を出展しています。


これはDMにも使ってもらった作品で
タイトルは『ゆらゆらのびたりちぢんだり』。
なんてったってわたしの賢治のスタート地点でもある
『やまなし』をイメージして作りました。
珍しく水色の紙をベースにした作品です。


どのぐらいの年代の人がそうなのか、わかりませんが、
わたしと同じぐらいの世代だと
おそらく小学校の国語の教科書に
この『やまなし』は載っていたのでは。


内容はともかくもこの作品の語り口というか
文章というかオノマトペというかは
忘れられません。
何かあるとふっと思い出します。


  二疋の蟹の子供らが青じろい水の底で話していました。
  『クラムボンはわらったよ。』
  『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』


二疋の蟹の子は女の子。
ゆらゆらのびたりちぢんだりする光が差し込む水の底で
楽しそうに会話をしています。


で、結局「クラムボン」ってなんなの?

20cm×20cm 額装




赤い春



窓辺に赤い切り絵があると
なんだか華やぐので
この季節はよく赤いのを切ります。
特に「春」や「福」などの文字入りの切り絵、
左右対称になった切り絵、
干支が入った切り絵など
中国切り絵っぽい切り絵が多くなります。


そのひとつ。
春の上に腰かけた女の子。
春の文字から新芽がそだっていく雰囲気で切ってみました。